インドもAIの発達でデータセンター建設ブーム。アジアで第3位の経済規模だから当然といえば当然の動き。GoogleもインドにAIデータセンターを建設するとしている。
だが、問題は冷却のための水の供給。元々、水不足のインドではこれは大きな課題だ。
BBCより、
India’s data centre boom confronts a looming water challenge

インド、AI時代の「データセンター建設ブーム」と水資源のジレンマ
― 急成長のAI需要と「冷却水不足」という見えないリスク ―
人工知能(AI)の急速な発展により、世界中でデータセンターの建設が加速している。
中でも注目されているのがアジア第3位の経済大国・インドだ。
Googleをはじめ、世界のテック企業が続々とAIデータセンターをインドに建設する計画を進めている。
その背景には、
- 英語人材が豊富でAI開発に適した労働市場
- 政府によるデジタル・インディア政策の後押し
- 地理的にもアジア各国の中継拠点として有利
といった“強い追い風”がある。
しかし、華々しいAIブームの裏側で、深刻な水問題が静かに進行している。
💧 冷却に必要な「大量の水」
データセンターは、24時間365日稼働するため膨大な熱を発生させる。
この熱を冷ますためには、空調だけでなく冷却水が欠かせない。
ところが、BBCの報道によると、インドではすでに深刻な水不足が進行しており、
新たなデータセンターが増えることで水の需給バランスが崩れる危険性があるという。
特に、ムンバイやハイデラバード、チェンナイといった既に水ストレスの高い都市部では、
電力だけでなく水の確保そのものが開発の制約になりつつある。
🏗️ GoogleもインドにAIデータセンターを建設へ
Googleは2025年以降、インド国内にAI向けデータセンターを新設する方針を発表している。
AIモデルのトレーニングや生成系AIの利用拡大に伴い、インフラ需要は爆発的に伸びている。
しかし同時に、Google自身も「サステナブルな冷却技術の導入」を表明しており、
海水利用・空冷化・再利用水の循環など、水に依存しない冷却システムへの移行を急いでいる。
⚠️ インドが抱える「AIの影」と「水のリスク」
インド政府は「AIで世界のリーダーになる」と宣言しているが、
AIの基盤であるデータセンターが水資源を圧迫すれば、
「AIの発展が地域の生活用水を奪う」という新たな社会問題にもなりかねない。
世界銀行によると、インドの一人あたりの水資源量は過去50年間で約70%減少しており、
2030年までに全人口の約4割が水不足地域で暮らす可能性があるとされる。
この現実を前に、AI産業の急成長を持続可能にするためには、
単なるテクノロジー競争ではなく、環境と共生する設計思想が求められている。
🔁 今後の焦点:「水を使わないAIインフラ」へ
世界的には、すでに次世代型の液浸冷却(immersion cooling)や空冷データセンターが注目されている。
インドでも、再生可能エネルギーと組み合わせたグリーン・データセンター構想が動き出している。
AIの時代を支えるのは、単なる演算能力ではなく、
「どれだけ少ない資源で大きな知能を動かせるか」という、効率性の知恵だ。
🔍 まとめ:AIの未来は“水”にかかっている
AIが世界を変えるスピードは確かに速い。
しかし、その基盤となるデータセンターが環境を壊してしまえば、技術の進歩は本末転倒だ。
インドのAIブームは、世界中に「持続可能なデータ社会とは何か」という問いを突きつけている。
📚 出典・参考
- BBC News: “India’s data centre boom confronts a looming water challenge”
https://www.bbc.com/news/articles/cgr417pwek7o - Google Cloud Official Statements (Data Center Sustainability)
- World Bank Water Resources Data (India, 2023)

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