GiveVisionというヘッドセットが開発されたそうだ。
弱視でほとんど目が見えないフットボールファンが特別なヘッドセットで初めて観戦を可能にしたという。感動的だったということだ。
技術はさまざまなことを可能にする。
BBCより、
‘A wee bit emotional’: Headset helps visually-impaired football fan see his team play for first time

【感動】弱視のサッカーファン、最新技術で初めて「推しのプレー」を目撃。「少し感傷的に…」
「ボールが見える。選手が見える。初めて、試合が本当に見えたんだ」
スコットランドのサッカースタジアムで、ある一人のファンが奇跡のような体験をしました。重度の弱視を持つ彼が、特別なヘッドセットを通して、愛するチームの試合を初めて「自分の目」ではっきりと見ることができたのです。
今回は、BBCニュースで話題となった、テクノロジーがもたらすスポーツ観戦の新たな可能性についてご紹介します。
34年間、音だけで感じてきたスタジアム
スコットランドのダンディー・ユナイテッドFC(Dundee United)の熱狂的なサポーターであるジョン・アッテンボロー(Jon Attenborough)さん。彼は生まれつき視覚に障害があり、スタジアムに足を運んでも、ピッチ上の選手やボールの動きをほとんど見ることができませんでした。
これまで彼にとってのサッカー観戦とは、スタジアムの雰囲気を感じながら、ラジオの実況中継を聴くこと。目の前で起きているプレーを、想像で補うしかありませんでした。
しかし、最新のテクノロジーがその「壁」を取り払いました。
視力を拡張する「魔法のヘッドセット」
今回ジョンさんが装着したのは、「GiveVision(ギブビジョン)」 と呼ばれる視覚補助用ヘッドセットです。
どういう仕組み?
このデバイスは、単なる拡大鏡ではありません。スタジアム内のカメラ映像をリアルタイムでヘッドセットに転送し、ユーザーの視覚特性に合わせて以下の調整を行います。
- 拡大・ズーム: 遠くの選手を近くに引き寄せる
- コントラスト調整: 芝生の緑とボールの白をはっきり区別する
- 明るさ補正: 光の感度を調整して見やすくする
これにより、弱視の人でも残された視機能を最大限に活用し、まるでテレビの高画質映像を目の前で見ているかのような視覚体験が可能になります。
「A wee bit emotional(少しうるっときたよ)」
初めてこのヘッドセットをつけて試合を見たジョンさんの反応は、非常に感動的なものでした。
“It’s been absolutely incredible to actually see the ball, see the players… It’s got me a wee bit emotional, actually.” (本当に信じられない。ボールが見えるし、選手も見える……実は、少し感傷的になってしまったよ) — BBC Newsより引用
「A wee bit emotional」というスコットランド人らしい控えめな表現の中に、34年越しに叶った夢への大きな喜びが詰まっています。彼は、ゴールが決まった瞬間の興奮や、選手たちの細かな動きを初めて自分の目で追いかけることができたのです。
テクノロジーが切り拓く「インクルーシブな観戦」
これまでスポーツ観戦におけるバリアフリーといえば、車椅子席の設置や音声ガイドが主流でした。しかし、今回の事例は「テクノロジーが身体機能の限界を補う」ことで、誰もが同じように熱狂を共有できる未来を示しています。
GiveVisionのような技術が普及すれば、視覚に障害があるからとスタジアム観戦を諦めていた多くのファンが、再びスタンドに戻ってくることができるでしょう。
「技術はさまざまなことを可能にする」——ジョンさんの体験は、まさにその言葉を体現するニュースでした。

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