ハリウッド女優のエミリー・ブラントがオランダ人のクリエイターが作ったAI女優のティリー・ノルウッドに激怒しているという。
これは、しばらく映画界でAI女優というものが作られて、本物の人間の女優が要らなくなるというおそれがあるからだろう。
インスタグラムのページもあり、それが、以下。
BBCより、
Emily Blunt among Hollywood stars outraged over ‘AI actor’ Tilly Norwood
タイトル
エミリー・ブラント、AI女優「ティリー・ノルウッド」に激怒｜人間俳優の未来を揺るがす論争
本文
ハリウッドで新たな論争が巻き起こっている。女優 エミリー・ブラント が、AIによって生成された「女優」 ティリー・ノルウッド（Tilly Norwood） に対して強い怒りを表明したというのだ。これは単なるゴシップではなく、映画界・演劇界にとって根本的な問いを突きつける事件だ。
ティリー・ノルウッドとは何者か
ティリー・ノルウッドは、オランダのクリエイター エライン・ヴァン・デル・ヴェルデン が設立した、AIアーティスト部門 Xicoia / Particle 6 によって作られた人工演技キャラクター。ウィキペディアにも、「AI女優としてマーケティングされ、2025年に発表された」と記載されている。ウィキペディア
彼女は AI 生成のコメディ映像 “AI Commissioner” やプロモーション素材で披露され、Instagram アカウントも運用されている。ウィキペディア+1 クリエイター側は、将来的にタレントエージェンシーと契約する可能性も示唆しており、実際にハリウッド側からも注目を集めつつあるという報道もある。Reuters+2The Washington Post+2
ただし、支持者側はティリーを「人を代替するもの」ではなく、「新たな表現の形」「デジタル芸術作品」と位置づけようとしている。ガーディアン+2The Washington Post+2
なぜブラントは激怒したのか？
エミリー・ブラントは Variety の取材でこう語っているとの報道がある：
“That is really, really scary… Good Lord, we’re screwed… Please stop taking away our human connection.” People.com+2ガーディアン+2
つまり、AI が人間俳優の居場所を奪い、演技や人間関係という根幹に横暴に踏み込んでくるという恐怖感だ。
さらに、演劇・映画業界には SAG-AFTRA（俳優組合） という強力な団体があり、このティリー論争に対して明確に反対声明を出している。組合は、AI 女優を「俳優ではない。無感情で、経験もなく、演技の本質を持たないもの」と断じ、労働権や著作権・肖像権に関する懸念を強く訴えている。ガーディアン+3Reuters+3EW.com+3
表現の場を「コード」に置き換えてしまう動きに、実際に演技を生業とする人々は生き残りを懸けた反発をしているのだ。
映画界・芸術界にとっての脅威と可能性
この状況は、ただの論争で終わるかもしれない。しかし背後には深いテーマが横たわっている：
- 表現のオリジナリティ：AI は過去の映像・演技データに基づいて新しい「演技」を生成する。だが、そこに本当に「生きた感情」があるかは疑問だ。
- 契約・権利問題：AIが人間俳優の顔・声・演技を学習データとして使っていた場合、無断使用・著作権侵害のリスクがある。
- 職業の代替：もし AI 女優が低コストで量産可能になれば、若手俳優の仕事が奪われる可能性がある。
- 観客の受容性：観客は「演技してる人間」を観たいのか、それとも「見た目だけ本物らしい映像体験」を観たいのか。芸術と娯楽の境界線が揺らぐ。
そして、支持者たちはティリーを「別ジャンルの表現」「CG・アニメと同列の芸術素材」として扱いたい意図を示すが、批判派はこの新ジャンルが人間表現を脅かすものだと警戒している。
結論：なぜこの論争は未来を問うのか
エミリー・ブラントが激怒したのは、「人間同士のリアルな表現」「演技という生きた時間の共有」が、AI に強奪されかねないと感じたからだろう。映画・演劇は人の身体・経験・感情を媒介にする文化であり、それを機械的に再現されてしまえば、人間性そのものが希薄化してしまう可能性がある。
もちろん AI が完全に否定されるわけではない。映像制作の補助、演出支援、背景キャラクターなど多様な可能性はある。ただ、**
主役を奪わない枠組み、権利保護ルール、そして人間表現の価値を守る倫理観** が、この先の鍵になる。
エミリー・ブラントの怒りは、ただの感情爆発ではない。これは、表現者たちの“未来への警鐘”である。
コメント